4月, 2017年
発起人の役割
発起人の役割
発起人とは社名をはじめ、株式会社のさまざまな事項を決定していく人であり、全員が必ず出資者となります。
発起設立の場合には発起人のすべてが創業当時の役員となりますが、資金を設立者以外の第三者より募集する場合の募集設立の場合には発起人は出資者にはなりますが、必ずしも役員として会社の経営を担うわけではありません。
発起人は、会社設立後は株主となり、出資額の割合によって、その後の会社の運営においても決定権をもつ可能性がありますす。
起業に賛同し、出資を申し出てくれる場合は、資金の提供を受けられる反面、出資割合によっては、役員の選任・解任など経営に関する事項の決定権についても持つことになります。
出資を受ける場合は、どこまで経営に参加させるかも含め、出資を受ける額を慎重に検討しましょう。
資金面での充実ばかりを目的に募集設立を行い、資金に関しては当初より予想外に多くの金額が集まったものの、創業当時の株主構成が、創業を決めた最初のメンバーの株式比率よりも多くなってしまっては、事業を行おうと思い会社を立ち上げた、あなたの志が折られてしまう危険もはらんでいますので、創業当時の株主構成や株式の持ち分割合も考慮したうえで、出資を受け入れるように十分に注意しましょう。
とにかく会社を作るということは、あなたの志を実現する最初の手段でしかなく、会社を作ることが最終的な目的ではないということを忘れずにいてください。
発起人の役割について述べます。
1.定款の作成および認証手続きをする。
これは当事務所などの専門家に任せた場合には、あなたが認証手続きをわざわざ公証役場に出向いて、公証人の方に認証をしてもらう必要はありませんし、定款の作成についても依頼した専門家に要旨を伝えてあなたの会社に最適な定款を作成してもらう方法もあります。
2.資本金の払込、現物出資の履行をする。
資本金がなくては会社は動くことはできませんので、会社の口座を銀行に作ってそこに資金を集める場合にはしっかりと振り込まれたことを確認するようにし、現物出資はあまりお勧めしませんが、もし行う場合には現物で出資されるものの価値をしっかりと客観的に判断しておくように注意してください。
3.発起人会を開催し、商号、事業目的、本店所在地などを決定する。
会社ができるまでは発起人会ということになりますが、設立後は株主総会が会社が行う主要なものになります。
4.事務所の賃貸借契約など、事業準備全般を行う。
会社の拠点となる住所が存在しないことには登記ができません。
登記ができなければ、会社として存在することができませんので注意するようにしましょう。
設立当初にはあなた以外のメンバーが存在しない場合など少数の場合には固定費を安く済ますことのできるバーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用することも方法になりますね。
起業する際の重要事項としては「起業に必要なひと・モノ・カネ」もご覧になってみてください。
あなた自身がする?専門家に頼む??
あなた自身がする?専門家に頼む?
あなた自身で会社設立手続きを行った場合と当事務所などの専門家に頼んだ場合の会社設立手続き費用の違いを一覧表にまとめてみました。
すべての費用がこれで終わるわけではないでしょうが、目安としての参考にはなるとは思いますので、比較してみていただけるといいかと思います。
ただ、あなた自身が会社設立手続きを行う場合には新しい事業の運営を考えながら、手続きをしなくてはならないという専門家に頼んだ場合には発生しないあなた自身の手間と時間が強制的に奪われることになります。
時間と費用を比較してみて、あなたの会社の形態に最もふさわしい会社設立手続きを選択していただきたいと思っています。
★意外に専門家に依頼しても、総額はこんなに違うのかというほどは変わらないことになっています。
専門家に頼んだ場合の収入印紙に関しては電子定款を使うということを前提条件にして紹介しています。
電子定款にしない場合には収入印紙代の4万円がかかることになりますので注意してください。
すべてを、あなた自身で行うのも創業手続きを行う場合には楽しいことですし、充実したことになるとは思いますが、あくまでも起業家のあなたの目的は会社を設立することではなく、設立した会社を使っていかにして、あなたの事業を進めていくことだということだけは忘れないでください。
起業家のあなたにとっては会社設立手続きは単なる手段にしかすぎません。
自分で行う場合 | 専門家に依頼する場合 | |
定款認証費用 | 約52,000円 | 約52,000円 |
収入印紙代 | 40,000円 | 0円(不要) |
登録免許税 | 150,000円 | 150,000円 |
専門家報酬 | 0円(不要) | 4~10万円が相場 |
最低限必要な費用 | 約242,000円 | 約250,000円が相場 |
どのように会社を設立するかも大切ですが、「起業に必要なひと・モノ・カネ」もご覧になってみてください。
株式会社と合同会社の違い
株式会社と合同会社の違い
ここでは、会社の形態を株式会社にすべきか合同会社にすべきか迷っているあなたがわかりやすいように、わずかな時間で比較できるように表にしてみました。
この表で比較しながら、あなたを含めた創業メンバーと話し合いをして会社の形を決めていってもらいたいと思います。
大切なことですから、決して急がず、じっくりと悩んで頭がすっきりするまで考えてみてください。
事業を開始する際に必要のない迷いはすっきりと捨て去って事業を開始していただきたいと思います。
株式会社 | 合同会社 | |
出資者の名称 | 株主 | 社員 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
設立と運営に必要な人数 | 1名以上 | 1名以上 |
意思決定最高機関 | 株主総会 | 社員総会 |
業務執行者 | 取締役 | 業務執行社員
業務執行社員を選任しない場合は社員全員 |
業務執行者と出資者の関係 | 委任契約
株主以外からでも選任可 |
社員本人
社員以外からは選任不可 |
業務執行者の任期 | 通常2年、最大10年 | 任期なし |
会社の代表者 | 各取締役
代表取締を定めることも可能 |
各社員
代表社員を定めることも可能 |
決算公告 | 毎事業年度ごとに必要 | 不要 |
出資者への利益配分 | 株式の割合に応じて配分 | 出資割合に関係なく社員の合意で自由に配分 |
株式(持分)の譲渡 | 事由
譲渡せ厳をかけることも可能 |
社員全員の同意が必要 |
株式会社か合同会社のどちらを設立するかに関わらず、起業に必要なことを理解するためにも「起業に必要なひと・モノ・カネ」もご覧になってみてください。
会社設立は専門家に依頼しよう
会社設立は専門家に依頼しよう
○株式会社の設立をあなた自身が行うには、総額で約20万~25万円の費用がかかりますし、この費用はあなたが足を使って行うとしても専門家に依頼するとしても減額されることはありません。
○会社設立手続きを会社設立サポートネット広島を運営する行政書士などの専門家の事務所に依頼した場合でも、4万円~10万円程度の報酬も含め、総額は約25万円~約30万円で済んでしまうことになります。
何故かと言うと、専門家はほとんどの場合、収入印紙のかからない電子定款システムを使用するため、必要な費用は実質的に自分で行う時とほほ同じか、少しだけ高い範囲で落ち着くことになるのです。
○専門家に依頼する場合のメリットを3つほど挙げておきましょう。
1.商号、事業目的の記載、資本金、出資割合などを決める際にアドバイスをうけられます。
2.手間と時間の節約ができます。
3.正確な処理による安心感が得られます。
当事務所としては、起業家であるあなたは少しでも時間を節約して本業の事業に専念していただきたいという思いから起業家であるあなたを全力でサポートさせていただくことにしています。
起業家であるあなたにとって会社を設立することは単に手段であって、会社を設立して事業を行うことが目的ですので、当事務所としては起業家であるあなたにはとにかく事業に専念して日本の経済の活性化を担っていただきたいと思っています。
○実費よりも低い総額費用で設立を行う専門家の場合、設立後の税務顧問契約などとセットになっていることがあります。
目先の費用だけで判断せず、本当に自分に見合った専門家であるか、依頼前によく検討しておきましょう。
専門家に依頼する場合にも、どの専門家に依頼するかは起業家であるあなたの判断ですので、よく状況を理解したうえで依頼をするようにしてください。
専門家に依頼する場合にも「株式会社の設立方法」もご覧になってみてください。
決して損にはならないはずです。
電子定款作成にかかる費用は?
電子定款作成にかかる費用について
○電子定款とは、電子データ(PDF)で作成し、電子署名された定款のことをいいます。
○電子定款を作成し、インターネット経由で公証役場に送信して認証を受けることができます。
○電子定款を作成する最大の特徴は、収入印紙代の4万円が不要になる点で、この特徴は株式会社の場合だけでなく、合同会社の場合でも同じですので理解しておいて損はないでしょう。(特に起業時は資金が重要になりますので、紙の定款にこだわりがないのであれば電子定款を選択するほうがお得なのはまちがいないでしょう。)
○注意すること
1.指定された方式どおり正しく作成する必要があります。
2.電子定款作成に必要な機器を購入する必要があります。
電子定款の作成で必要なものを挙げていきます
1.Adobe Acrobat
PDFデータに電子署名をする必要があるので、必ずこのソフトウェアでなければなりません。
フリーのPDF作成ソフトウェアなどでの代用は不可ですから十分に注意してください。
約34,000円です。
このソフトを会社設立のためだけに購入することはかなり損かもしれません。
ソフトの代金と収入印紙の代金がほぼ同額ですから、仕事などでソフトをすでに所有しているのであれば利用しない手はないとは思いますが、ソフトをわざわざ購入するのであれば、どうすべきか考えたほうがいいかもしれません。
紙ベースの定款と電子定款のどちらが、あなたの会社には都合がいいかもよく考えておきましょう。
2.カードリーダー
家電量販店などで購入できます。
約2,000円です。
カードリーダーは電子定款作成以外にも会社の決算時などの確定申告をネットを使って行うe-taxを行う場合にも使用しますので、会社設立時に購入したとしても、そこまで損をすることはないかと思います。
3.住民基本台帳カード(住基カード)
市区町村によって費用は異なりますが約500円必要です。
住民登録をしている市区町村で発行してもらいます。
住民基本台帳カードを作るのであれば、身分証明書として利用できる写真入りのものを作成しておくことをお勧めします。
電子定款で定款を作成することを決めた場合には「株式会社の設立方法」もご覧になってみてください。
株式会社設立に必要な書類
株式会社設立に必要な書類
ここでは、取締役会を設置しない場合(株主と取締役が同一である小規模な企業)の必要書類について述べていくことにします。
ここで取締役会を設置しない場合の会社を事例として挙げていますのは、創業当時の段階で取締役会を設置する会社は少ないと思われるので、取締役会を設置しない場合の会社を取り上げることにしました。
多くの会社が創業当時には取締役会を設置しない状態で起こしており、後々に会社がある程度成長した段階で、取締役会を設置するというように形態を変更していくと思いますので、複雑な手続きを設立段階で行うよりも、起業家の方の目的は会社を設立してからの業務こそが大切だと思われるので早く業務が開始できるような状況を選択していきましょう。
1.設立登記申請書
2.登記免許税納付用紙
3.OCR用申請用紙
4.定款
公証人の認証を受けたものを提出します。
5.発起人会議事録、発起人設立事項決定書
定款の本店住所が市区町村までの記載である場合に提出します。
6.就任承諾書
代表取締役、その他役員が署名します。
7.個人の印鑑証明書
発行後3か月以内のものを用意してください。
発起人1通、役員1通、発起人兼役員の場合には2通が必要になります。
※発起設立の場合にはほとんどすべての発起人の方が役員も兼任すると思われますので、印鑑証明書は2通と覚えておくほうが後々足りないということで焦る心配もないのではと思われますので、初めから2通必要だと考えておくほうが迷うことがないのではと思います。
8.登記事項証明書、法人印鑑証明書
法人が発起人になる場合に必要になります。
9.資本金払込を証明する書面
通帳のコピーとともにホッチキス留めして提出します。
10.代表者の印鑑証明書
会社の代表者印を届け出る際に提出します。
11.印鑑カード交付申請書
現物出資がある場合のみ必要なものを以下に述べます。
1.取締役・監査役による調査報告書
現物出資の価額が適正であることを証明するものになります。
2.資本金の額の計上に関する証明書
現金と現物出資の額を合わせて、資本金に計上する金額を証明するものです。
3.財産引継書
現物出資をする発起人から、会社に対して、たしかに財産が提供されたことを証明するものです。
※現物出資は金銭ではありませんので、出資された物の価値が一見してわからない可能性がありますので、このように現物出資のみに金銭として変換した場合にどの程度の価値があるかを明確にしてくださいという規定があるというわけですね。
※現実的に現物出資はあまり考えられないことなので、これから会社を設立する起業家の方はそこまで現物出資については考える必要なはないでしょう。
株式会社の設立時に必要となる書類とともに「株式会社の設立方法」もご覧になってみてください。
株式会社の設立方法
株式会社の設立方法について
株式会社の設立方法には、発起設立と募集設立というものが存在しています。
発起設立と募集設立の最大の違いは、会社を設立する段階で集めることが必要な資金を、会社を設立をしようと考える人物(発起人といいます)だけにするか、発起人以外の第3者にもお願いして出資してもらうかになるでしょう。
1.発起設立
出資者:発起人のみしか認められません。
出資方法:現金または現物出資が可能です。
経営スタイル:発起人が経営者かつ株主となります。
その他の特徴:会社の当事者だけになるので設立までに早急な手続きが可能です。
2.募集設立
出資者:発起人および株主募集の応じた第三者が可能です。
出資方法:現金または現物出資が可能です。
(現物出資は発起人のみ可能であって、第3者の出資者に関しては現物出資をすることができず、現金でしか出資をすることができませんので募集設立を行うときには十分に注意するようにしましょう)
経営スタイル:発起人以外の第三者が株主となります。
その他の特徴:出資金を金融機関に預け入れる際、払込金保管証明書の取得が必要になり、さらには手数料も発生します。
※発起人とは、社名をはじめ、株式会社のさまざまな事項を決定していく人であり、また全員が出資者となります。
ただし、発起人は必ずしも、設立後に役員となるわけではなく、出資のみを行う発起人も存在します。
発起設立と募集設立が存在していますが、新しく作られるほとんどの会社は発起設立ということが現状です。
理由は単純ですが、募集設立の場合には、あなたの事業に対して信頼をしてお金を出資してもらうわけですから、相当の信頼であったり、これまでにない革新的なサービスであったりということを出資者に納得させないといけないだけに、実績が乏しい段階の起業家の場合にはなかなか募集設立で会社を設立しようと考えるのは厳しいかもしれません。
発起設立が募集設立よりも良い点とすれば、募集設立はどうしても発起人以外の人物が創業当時から株主として存在するので、株主総会でも一定の発言権を持つことになりますが、発起設立の場合には株主となるのは、同じ志を持っているメンバーなので、事業計画等の会社の今後の方針に関しても意見が対立するという可能性が少なくスムーズに事業が進められるということではないでしょうか。
発起設立で十分に資金面で問題ないのであれば、わざわざ募集設立を行って、第3者の意見を取り入れる必要はないともいえるかもしれません。
いずれにしても、資金面だけでなく、設立後の意見の対立などの状況も考慮したうえで、発起設立と募集設立のどちらがふさわしいのか判断してみましょう。
設立方法を理解した後は「事業のコンセプトを決めよう」もご覧になってみてください。
運営のための資金調達は重要
運営のための資金調達は重要
株式会社や合同会社といった営利企業だけでなく、NPO法人などの社会貢献活動を行う法人を設立して運営する際にも、資金調達は欠かすことはできません。
まずは、本拠地としての事務所を借りるための敷金・礼金や月々の家賃負担、職員の毎月の給料や社会保険料、光熱費、事業を行う際の消耗品や備品、税金など、経費はNPO法人のような非営利組織であっても、営利企業と同じようにかかってくることになります。
さらには、何かの事業活動を展開して行おうとするのであれば、そのための準備として備品の購入や事業のために動いてもらう方の人件費、新しく事務所を借りるのであれば、さらに家賃といった初期投資費用がある程度は必要になってきます。
このように、法人を維持継続するための必要経費を捻出するためには、何らかの形で継続して収入を得ることができなければ社会貢献活動を行っていくことができません。
その手段の中心になるのはやはり事業を行うことによって得られる収益ということになるでしょう。
収益が必要だと述べてしまうと、そもそもNPO法人というものは非営利団体だというのに、事業で収入を得るという事はおかしいのではないかと違和感を感じる場合もあるかもしれません。
しかしNPO法人を運営・維持していくために事業収益を使うのであれば、その目的はあくまでも社会貢献であるということになります。
つまり、NPO法人が事業収入を得ること自体には全く問題がないということになります。
社会貢献活動を行うNPO法人もそれぞれの組織が独自のアイデアによって、新しいサービスや商品などを提供して事業収入を得ていけばいいのですが、NPO法人というある程度の規模がある組織を維持運営していくだけの収益を継続的に上げ続けるだけのサービスを提供するというのは意外と難しいのも事実です。
NPO法人は非営利組織ということで、あなたはもしかしたら経営手腕があまり必要にならないのではないかとも思われるかもしれませんが、ビジネスセンスを磨いて経営手腕を発揮していかなければ本来の社会貢献活動を行うことも厳しくなってくるかもしれませんので十分に気を付けてください。
会費を徴収する必要もある
事業収入のほかに、確実に収入を得る方法としては、会員を募集して月単位や年単位で会費を徴収するというやり方があります。
ある程度の人数の会員を集めることができれば、収入の予測が立ちますので、その範囲で事業を行うようにすれば資金面で困ることなく、安定して事業に専念できるようになります。
会員を集めて事業を進めるには、常に新規の会員を集めることも考えていかなくてはいけませんが、いかにして既存のお金を出してもらっている会員の方に満足してもらえるかの方が大切になってくるでしょう。
会員の方がお金を出してでも活動を支援したいと思ってもらえるような魅力的な事業を展開することは当然必要になりますが、毎年1回は活動報告とともに会費をどのように使って現在の法人の資金面がどのようになっているかをオープンにして報告することで会員の方に安心感を与えることも重要になってくるでしょう。
寄付金だけをあてにしてはいけない
NPO法人には活動に賛同する企業や個人から寄付金が集まってきます。
寄付を申し出てくれる企業や個人が寄付を思い立ったきっかけは、社会貢献に少しでも役に立ててほしいであったり、寄付をすることで節税対策を行いたいなど理由は様々に存在しています。
また寄付先にどのような組織を選択するのかという基準も自分がやりたいと思っていた活動を行っている団体なので活動内容に共感したであったり、地域で積極的に活動していることが有名な団体なので安心して寄付できる、同じ悩みに苦しんでいるので自分が応援したいなど、企業や人によって、思いはすべて異なるといってもいいでしょう。
寄付で注意すべき点としては、いつどのようなあ形で行われるのかは全く予想ができないことです。
前年にたくさん寄付があったので今年も同じくらいの金額の寄付があるだろうと予測して予算に組み込んでしまうのは非常に危険な考えになります。
寄付はあくまでも善意の行動になりますので、本来はないものと考えて、いただけたら予想外という考えでいるといいでしょう。
寄付金の利用方法としては、常勤の職員の給料や家賃といった毎月必ずかかることになる固定費にあてるのではなく、寄付金は積立金のような形で保管しておいて、団体でこの金額まで寄付金が集まったら普段は行わないようなイベントを不定期で行おうなどと企画しておけば、寄付した方も寄付金も使われ方が明らかになるので、より寄付しやすくなるのではないでしょうか。
補助金や助成金は100%支給されるわけではない
社会貢献活動を対象にした補助金や助成金は実にたくさん存在しています。
政府としてはすべてを国費でまかなって活動することは国の財政を圧迫して厳しいが、率先して行ってくれる団体があるのであれば、少しは支援しようという考えもあるわけです。
補助金や助成金で思い浮かべるのは国などの行政機関からかなと思うかもしれませんが、国や地方公共団体以外にも民間の財団や事業団なども目的を限定していますが補助金や助成金を出しています。
補助金や助成金は基本的には返済の必要のないお金ですので、受けることができれば法人の資金面では非常に助かることになりますが、申請したからといって必ず支給されるわけではありませんので、そのあたりは注意しておきましょう。
運営資金も重要ですが、運営資金と同じくらいに重要な要素として働いてくださる人材の確保がありますので「人材確保が重要になる」もご覧になってみてください。
NPO法人と地域社会とのかかわり
NPO法人と地域社会とのかかわり
社会が現在抱えている課題は、日本国内であっても、現在の日本以外の国であっても地域や民族性が異なってくると必要とされてくる内容がかなり違ってくることになります。
例として、日本で問題になっている高齢化社会について考えてみましょう。
同じ都市のなかでも違いはある
都市部では数年前から、高齢者の方が行方不明になってしまう問題がニュースなどでも取り上げられていました。
実際にデータでも行方不明になって見つかっていない高齢者の人数は年々増加傾向にあるようです。
理由としてよく言われているのが、都市部ではマンションなどで隣に誰が住んでいるのかということが全くわからないために、たとえ行方不明になったとしても、そもそも知らないのだから行方不明であるかもわからないという事実が存在していることも確かです。
さらには核家族化の加速によって、他人という横のつながりだけでなく、家族という縦のつながりの希薄化が進んでいるということが証明されてしまった現象と言う事ができ、日本社会全体の問題として解決していかなければいけない大きな課題であると言えるでしょう。
一方、昔ながらの農村地域(過疎地域が多いかもしれません)では都市部で他人のことにかんして、そこまで無関心であるということに、そもそも理解ができないということもあるようです。
昔ながらの村社会の伝統が残っている地域では地域の住民が常に触れ合って生活していくことが当然だという考えがあるでしょうから他人に関心が薄い人たちの気持ちがなかなか理解できないのかもしれません。
逆に農村地域では、経済活動を支えている現役世代の人口が減少傾向にあり、地域の経済が立ち行かなくなる可能性があるといった問題や、医師不足による公共の病院の統合や閉鎖、住民への社会福祉サービスが不十分であるなどといった問題が都市部にはあまりない課題として浮き彫りになってきているようです。
さらにと一概に都市部と農村部わけてしまうと、その地域独自の歴史的な背景であったり、主要な産業、これまでに自治体が行ってきた公共政策といった様々な条件によって、状況がそれぞれに異なってきます。
地域が人々の日常生活の基盤であるということを考えると、社会貢献活動を行うにあたっては、どの地域を対象として、どのような社会貢献活動を行うかということが重要になってくるのではないでしょうか。
住民に受け入れられない活動は成り立たない
また地域でNPO法人を設立して社会貢献活動を行う場合、地域の抱えている課題やその対象となる事象にだけ向き合っていれば問題ないかと言えばそうではありません。
あなたの設立したNPO法人がいくら地域で社会貢献活動を行うといっても、いきなり別の地域から全く知らない人たちがNPO法人という名のもとに活動を開始しましたとしてやってきたとしても、最初は信頼関係が存在していないでしょうから、警戒されてあまり相手にされないこともあるということも考えておきましょう。
そうなってしまうと、せっかく社会貢献活動を行うという高い志をもってNPO法人を設立したにも関わらず、事業の運営に支障が出てきてしまいます。
このような状態を防ぐためにも、まずは地域団体や、地元企業、商店街の集まり、関係施設や学校など地域を構成している組織と連絡を取り合って信頼関係を作ったうえで、活動に協力したもらえるようにすることがスムーズな事業活動には必須と言えるでしょう。
地域社会との円滑に関わっていくためには「人材確保が重要になる」をご覧になっていただいて、人材を地域から採用するという方法も1つの選択肢になるのかもしれませんね。
社会貢献とビジネスが両立できる魅力的なNPO
社会貢献とビジネスが両立できる魅力
現在の日本社会は実に様々な問題を抱え込んでいます。
その多くが先進国特有の問題というのが特徴的なことかとも思います。
日本と同じような問題に悩んでいる国は欧米諸国が多く、いずれも経済が発展している先進国と言われる国に多く見られる現象なのです。
たとえば、現在の日本において、特に大きな課題となっているものに高齢者の問題があるでしょう。
ひとまとめに高齢者といっても、介護が常に必要な方もいれば、まだまだ介護は必要なく元気で行動ができ現役世代よりも意欲にあふれて生き生きとしている方もいますし、少しだけの介護は必要ではありますが、環境さえ整えてあげれば十分に社会に参加して人のために貢献できる方もたくさんいます。
そのような行動かまだまだ可能な人達にとっては、介護や医療といった公的な社会保障制度よりも、自分のできる範囲で社会参加したり、趣味を楽しんだりするための場所や手段がないことのほうが実は重要な課題になることも多々あります。
自分が社会のために役になっているという充足感というものは、会社をやめてしまって、目標がなくなってしまった高齢者にとっては、かなり重要なことだと言えるわけです。
このように、表面的には一つに見えるような課題であったとしても、立場が変わるとまた違った側面からの課題が見えてくることが多くあるのです。
社会貢献活動は多くの人が関わっている
一方でその課題に取り組んでいる人や団体についても様々な種類が存在しています。
まず、社会的な課題に取り組む人や団体として最初に挙げられるのは、国や地方自治体などの公共機関になります。
高齢者の問題を例にして示しますと、介護保険制度の導入や高齢者医療制度の改正、高齢者雇用制度の確立、公立の病院や施設の運営など、さまざまな政策を行っています。
ただし、公的機関が行うサービスで問題なのが、公的である以上はすべての国民に平等に行わなければいけないという原則があるために、困っている人に対して個別具体的にきめ細やかなサービスがいきわたるように行えているかといえば残念ながらそうではないと言わざるを得ません。
そこで、公的な政策だけではカバーしきれない課題を見つけ、それぞれの考え方や方法で対応しようとしているのが、当事者の団体であったり家族会や自治会や婦人会といった地域団体であったり、地元の企業や商店、個々のボランティアといった細かいところにも目が届かせることのできる組織や個人になります。
これらの組織や個人はそれぞれの立場で、様々な形で社会的な課題の解決にむけて社会貢献活動を行っています。
社会貢献活動の目的は、課題の存在によって問題を抱えている人を支援することや、課題そのものが解消されるように社会のしくみを変えるこに加えて、目に見えない利益を得ることであって、金銭を得ることが最優先の目的ではありません。
特に日本では欧米と違い、社会貢献活動と聞くと奉仕、無償というイメージが強く、高い目的意識を持っている組織や個人がどんなに社会的に役に立つ活動を行っていたとしても、金銭的な利益を行っている活動によって多少であっても得ているということがわかってしまうと、社会貢献活動で金銭を取って活動することは問題ではないかと指摘されてしまい、下手をすればせっかく社会的に意義のある活動ができなくなってしまうこともあります。
このため、社会貢献活動はこれまでは本業を犠牲にしないで片手間の時間で行うか、寄付や補助金に頼って行うなど不安定な状態のまま行われていることが多くありました。
しかし、一方で社会貢献活動を行っている組織や個人にも、活動を行いながらも自分たちの生活を維持していかなくてはいけませんし、特に組織であれば事業を維持するためには、ある程度の活動経費が必要となるのも厳然たる事実になります。
さらに、少額の寄付や公的な補助金などに縛られていると多種多様なニーズが存在する社会貢献活動に自由な発想で取り組むことが困難になるといった問題も発生するようになってしまいました。
新たな考えである社会起業
そこで、この状況を改善しようと考えられてきたのが、社会起業、コミュニティビジネスとよばれる事業モデルになります。
この事業モデルでは、社会貢献を目的としながらも、ビジネスとしての事業も行い、収益を上げるという形を目指しています。
社会起業では事業活動によって得た利益は、構成員と呼ばれる株式会社でいう株主に配当金のような形で還元するのではなく、次の社会貢献活動のために使用することが基本的な流れになっています。
この部分が株式会社、合同会社に代表される営利企業とは大きく異なる点だと言えるでしょう。
このような形をとり、事業がビジネスとして軌道に乗れば、安定して事業活動を継続していくことができますし、自分たちの組織で得た利益ですから自分たちが今後必要と考える活動に資金を自由に投入することができることになります。
さらに、新たな課題に取り組んだり、事業を別の地域に広げていくなど、活動を拡大させることも可能です。
社会起業やコミュニティビジネスを行っている組織の形態は様々で法人格を持たない任意団体として活動をしている組織も存在していますし、中には株式会社、合同会社などの営利企業の形態をとっている組織も存在しています。
しかし、社会貢献活動をしながらビジネスを行うという社会起業の場合には、任意団体よりもしっかりと登記をおこなった法人の方が社会的に得られる信頼は大きく違ってくるでしょう。
そのためにもNPO法人の日本語の呼び名である、特定非営利活動法人という名称から、社会貢献を目的としている組織であるということが一般の方にも簡単に伝えることのできるNPO法人での活動をお勧めするわけです。
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